アスミック・エース映画情報雨あがる
雨あがる
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ヴェネチア国際映画祭

●撮影日誌
 1999年5月
 5月6日
 5月7日
 5月8日
 5月9日
 5月10日
 5月11日
 5月12日
 5月13日
 5月14日
 5月15日
 5月16日
 5月17日
 5月18日
 5月19日
 5月20日
 5月21日
 5月22日
 5月23日
 5月24日
 5月25日
 5月26日
 5月27日
 5月28日
 5月29日
 5月30日
 5月31日

 1999年6月

作品概要
 概要
 黒澤監督の覚書より

キャスト
 寺尾  聰
 宮崎 美子
 三船 史郎
 檀  ふみ
 井川比佐志
 吉岡 秀隆
 加藤 隆之
 原田美枝子
 松村 達雄
 仲代 達矢

《七人の侍》たち
  〜スタッフ〜
 ☆監督:小泉堯史
 ☆脚本:黒澤 明
 ☆撮影:上田正治
 ☆撮影協力:斎藤孝雄
 ☆美術:村木与四郎
 ☆照明:佐野武治
 ☆録音:紅谷愃一
 ☆衣装:黒澤和子
 ☆監督補:野上照代

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撮影/制作日誌
1999年5月


黒澤明監督の遺志を継いだ作品『雨あがる』の撮影/制作現場から、担当者が生の情報をお伝えします。

5月6日(木) 晴れ 静岡県・島田市大井川ほか
雨あがる
掛川城
 今から半年前、映画化に向けての準備が始まりましたが、あっという間に撮影前夜が来てしまった。
 メインスタッフは、朝9時に成城の東宝スタジオを出発、五月晴れの東名道を一路掛川へ・・・。
 掛川入り途中で大井川の下見にいったところ、水嵩が増しているというので川の寄りのシーンを急遽撮影した模様。早業!
 掛川到着後、休むまもなく掛川城へ下見に・・・。

 午後6時、関係者が宿泊先のホテルに集合。
 主役の三沢伊兵衛役の寺尾聰さんをはじめ、三船史郎さん、吉岡秀隆さん、加藤隆之さん(黒澤明監督の孫)ら俳優の皆さんと共に、オールスタッフ揃って総勢100名での大夕食会が催されました。
 プロデューサーの原正人氏より「とにかく傑作が出来るという確信をもってこの場に来ました。あとは、この素晴らしい映画をヒットさせるために全力を挙げてがんばっていきます」という決意表明。
 またプロデューサーの黒澤久雄氏からは、「明日からは黒澤明ではなく小泉さんの映画ということでみんな臨んで欲しい」という小泉監督への暖かいエールが送られました。(M.A.)
5月7日(金) 晴れ 静岡県・掛川城二の丸御殿大書院
雨あがる
撮影の無事を祈っておはらい神事
 雲一つ無い快晴。しかし風は強い。
 朝、7時前から朝食、7時15分からは、俳優さんたちの扮装着付けが始まる。
 若手スタッフの機敏な動きと、メインスタッフの方々の緊張の中にも余裕を感じさせるムードが合い交わって、不思議なハーモニーが生まれてくるような感じを覚えた。
 本隊は、予定通り午前7時半にはホテルを出発、掛川城に入り、直ちに御殿内の大書院の間のロケ加工と小袖姿で現場入りした俳優さんたちに袴・胴服をつける作業に入る。
 午前9時15分、二の丸御殿庭にてスタッフ・キャストが集まりおはらい神事がとりおこなわれ、ロケ最中の健康と映画の成功祈願が為された。

 いよいよファーストカット。
 約30分ほど、テストを兼ねて最終段取りの確認を各パート連携して行なった。
 小泉監督の「ョーィ、ハイ」の掛け声を聞いたあるスタッフが呟いた。「おやじの声と似ているよ。まいっちまうな」

 午前11時、「本番いきます」の声。
 高まる緊張。「ヨーィ、ハイ」の小泉監督の声に続いて、「お成ーりー」の台詞とともに三船史郎さん扮する永井和泉守重明登場。

雨あがる
録音部の皆さん。中央が紅谷さん
 強風でがたがたと襖がゆれたり、遠くで話す子供の声が入ったり、おまけに取材陣のマナーモードになっている携帯電話の電波でノイズが発生したり(録音の紅谷さんから「荒木お呼び出し注意」を受け、その後、取材陣に全員スイッチオフが徹底される)とのアクシデントはあったものの、午前11時12分、ファーストカットのOKが出された。
 自然とスタッフ・キャストそして取材陣からも起こる拍手。
 なんか、こちらまで目頭が・・・。しかし、まだまだ一日目のファーストカットだと気を引き締め直す。

 午前中に、もう一カット撮り、昼休み。順調に進む撮影に、なごやかな雰囲気のお弁当。暑さもありスタッフが作ってくれる冷たい麦茶の美味しさは格別。

 午後1時30分。午後の撮影が開始される。
 残りの四カットは、わずか30分ほどでOK。これまで、撮影の準備に約半年かけてきた黒澤組改め小泉組ならではの成果と安堵する。

 午後2時すぎからは、キャストの皆さんと小泉監督・野上監督補にも御協力いただき、フォトセッションと囲み取材。(宣伝部がこれまでがんばって仕込んできた取材媒体に加え地元メディア併せ50名ほどの大取材陣。皆一様にこの「雨あがる」に賭けるスタッフの気を現場で感じ、公開までの強力な応援団になろうとの気持ちを持っていただいたようだ)
 その後、明日の撮影シーンのリハーサルを約30分ほど行ない、本日分終了となった。

 午後7時、ホテルでNHKの「ニュース7」で本日の報道取材が放送されるのを約20名ほどのスタッフと共に見る。画面に釘付けになっていたスタッフから放送終了後こぼれる笑み。

 エレベータホールで衣装担当の黒澤和子さんが「小泉さんのヨーィ、ハイ。パパかと思っちゃった」と・・・。
 黒澤監督もそうだったが、ここでは「ヨーィスタート」ではなくて「ヨーィ、ハイ」何かちょっと響きに暖かみを感じるのは私だけかな?何もかもが勉強と刺激になっているこの二日間。不思議と本番の声がかかると、喘息のように出ていた咳すら止まってしまった。(M.A.)

5月8日(土) 晴れ 静岡県・掛川城二の丸御殿大書院
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取材を受ける三船史郎さん
 天気、雲一つない快晴。今日から昨晩到着の家老役井川比佐志さん登場。シーン65の撮影。
 殿様役の三船さんが井川さんに突然「すいません、失礼なことを申し上げますが、それは決して私の本意ではありません。・・・」と頭を下げて謝っている。一体何がおこったのかあっけにとられているスタッフ、そして井川さん。
 よく話をきいてみると、今日の三船さんの井川さんに向かって台詞の中に「石頭!・・・その石頭をねじきって、池の鯉の餌にしてくれる」というくだりがあるとのこと。
 台詞といえどもまじめで礼儀正しい三船さんならではの気遣いに一同「感服つかまつりました!」
 そして、午前11時半にはシーン65、無事本番OK。

 昨晩のNHK「ニュース7」や地元新聞を読んだ人がぞろぞろと、今日の掛川城は一般の人で大にぎわい。
 昼食後、ナイター撮影のシーン42の撮影準備に入る。
 観光客の入場が終わる5時を待って、雨戸を閉め、暗幕をはっての謁見の間での撮影。
 ハイライダーを使って、二の丸御殿の松が月明かりで障子に映し出されるバックをつくる。燭台の灯の感じとともに照明班大活躍の本シーン。
 廊下の方では、本物の鯛をはじめとするお膳の準備。
 通し撮りの本番では一回でOK。思わず出演者からも初日のファーストカットに引き続いて拍手がおこる。

 その後、お城が街に近いせいか、遠くでぶんぶんとエンジンをふかす暴走族?に泣かされる。皆の願いが通じたのか、一瞬の隙間をぬって本番撮り。録音からの「OK」の声に安堵する製作部。
 「時代劇、携帯電話もオートバイもあるわけなし」ということで、苦労は多い。

 午後10時過ぎ、すべての本日分の撮影終了。明日から、彦根へ移動ということで大撤収作業が始まる。
 午後11時15分、ようやく作業完了、夜食のおにぎりめがけ、一同ホテルへ一目散に車を走らせる。(M.A.)
5月9日(日) 晴れ 移動日(掛川〜彦根)
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 掛川を午前10時前に出発。薄曇りの東名道から名神道へロケ車は進む。昼食をはさみ約2時間半で彦根到着。
 早速メインスタッフとともに彦根城天秤櫓、博物館、楽々園、玄宮園を下見。カメラポジションの確認。
 明日の撮影には白樺湖のホープロッジから移動してきた馬3頭も登場。(イザベラ・ボンボ・ナバホなんて洒落た名前でしょ?)(M.A.)
5月10日(月) 晴れ 滋賀県・彦根城天秤櫓
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 撮影3日目。天気は予報に反して晴れ。
 本日から、彦根に場所を移しての撮影。彦根城の天秤櫓での撮影なだけに、急な石段での照明・録音機材の荷揚げ作業には息も切れ切れ。しかし、そこに滋賀大学スキー部の学生さんの応援も加わり、作業もスピードアップ。無事、予定時間内に準備完了。
 撮影も、馬もちゃんと隊列を組んで門をくぐりリハーサル通りに本番も進む。黒澤組ならではの光と影のこだわりもあり、3時間ほどひたすら早く日がかげるのを拝むように待つ。これも本物の絵作りのため、焦るな焦るなと自分に言い聞かせる。(M.A.)
5月11日(火) 晴れ 滋賀県・彦根城楽々園
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石燈篭の製作
 今日の撮影は、昨日の天秤櫓から場所を移して同城内の楽々園で行った。相も変わらずスタッフの手際の良さに、ただただ感心する。1シーンに対する熱い思いは考えている以上に大きく、なんと明日12日に撮影予定だったシーンまで撮り終えてしまった。
 撮影、照明、録音、美術などなど、どの部も素晴らしい集団だが、各部署にスムーズに仕事をしてもらうために人止め、音止め、食事手配などに奔走する製作部も大変。観光客から、やじ馬までさまざまな人が来るのを捌いていくのだ。(K.S.)
5月12日(水) 晴れ 滋賀県・彦根城玄宮園
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照明用のやぐら
イントレとも言います。
 本隊出発は、午後2時。玄宮園にて、俯瞰どん引き俳優入れ込みの全景ショットを撮影。現場では、人止め、音止め。国道では車止めと、忙しい撮影ではあったが撮影時間はわずか3時間。まったく問題なし。(K.T.)
5月13日(木) 晴れ 撮休日
 VIVA CITYにて掛川撮影分(5月6日,7日,8日)のラッシュ。初のラッシュだけにスタッフの間に緊張感が走る。
 小泉監督の求めているゴッホの「馬鈴薯を食べる人々」の陰影感も見事に表現され、黒澤組の実力を見た。
 しかし何と言っても、三船さんがすばらしいことこの上ない!
 亡き父親、三船敏郎譲りの存在感に加えて、厳格な性格の中に時折垣間見せるあのやさしさは、紛れもなく史郎氏ご本人の魅力、持ち味によるものであり、ある意味では父親をも凌ぐと思われる。スタッフ一同、確かな手応えをつかんだような、そんな気がした。(K.T.)
5月14日(金) 晴れ 滋賀県・彦根城表御殿お客座敷
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照明部の皆さん
 撮影6日目にして初の女優陣登場。奥方役の檀ふみさん、そして腰元役の森山祐子さん、麻生奈美さんが彦根入り。
 夕方より撮影準備に入る。ナイター撮影となると照明部が大活躍。照明の佐野さんの一声で創りだされていく光の数々。ろうそくの灯、あんどんの灯。その違いをぜひフィルムで確かめてもらいたい。(M.A.)
5月15日(土) 晴れ時々曇り 移動日(彦根〜掛川)
小國神社本殿
小國神社・本殿
 彦根での撮影を予定通り終了し、再び掛川に戻る。
 掛川到着後、明後日からのロケ場所となる森町小國神社を下見する。
 古代の森と謳われるにふさわしく、美しい自然に囲まれた神社で、森林浴と清流のせせらぎの中で心地よい撮影を……と期待するだけ無駄なのが当たり前。ハイライダー2台を神社に留め置き、照明機材が仕込まれ、神聖な場は戦場へと変わっていった。(M.A./K.T.)
5月16日(日) 曇り時々小雨 撮休日
 撮休の予定だったが大井川下見のため各パート動き出す。
 録音部は、朝6時出発で小國神社にて自然音の音取りに行く。
 衣裳メイク、演出部、製作部は、12時ホテル出発で、5月22日,23日撮影予定の大井川川越えエキストラ着替え室を下見。
 演出部、川の中に入り場所選定をするが、打ち合わせの結果、ブルドーザーを入れて中州を堀り、川の支流を作ることに決定。
 装飾部は、博物館から借りてきた輦台(れんだい)をかつぐ方法、わらじのはき方を地元保存会に教えてもらう。
 各パート現場にて打ち合わせ後、馬の河渡り場をロケハンする。
 また、明日から2カメ体制ということで撮影部B班が掛川入り。メーキング班も入り、撮影隊の雰囲気がにぎやかに騒がしくなってきた。
5月17日(月) 晴れ 静岡県・小國神社
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中央が斎藤氏
 設定が朝にもかかわらず、本日晴天のため明かりが思うようにままならず、光線狙うも現場膠着状態。
 加えて、2カメ体制初日ということもあり、カット割は事前に打ち合わせたカメラポジションではあったが、上田、斎藤ともに慎重な姿勢を崩さない。
 結果、本日はシーン19,20一部を残し、明日に延期する。
 一方、シーン22のリハーサルを同時進行、俳優、馬班とも明日の本番に向け入念な騎馬訓練を行う。
 果たし合いの場に登場する若侍8名も 実際の現場を訪れ、久世殺陣師を交えて立回りの動きを再確認。
5月18日(火) 晴れ 静岡県森町・小國神社
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雨に濡れた感じを出すために木に放水する
 天空は相変わらずの晴天により、前日残は撮り切るもシーン21にはとても手が届かず、ワンカットを回して5月19日に延期する。
 明日は降水確率90%、狙いの曇天は問題ないにしても雨では...
 熊田氏、大井川の中州掘削作業(支流作り)に立ち合い、3日かかると思われたが1日で完了、喜色満面でメインスタッフにロケ写真を披露するも明日の天気予報を聞いたとたん、顔面蒼白。「これで支流が流されたらおれは泣くに泣けない」と、熊田さん。きっと今夜は眠れないだろう。(K.T.)
5月19日(水) 静岡県森町・小國神社
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これがハイライダーです
 小雨決行で、朝8時に現場である小國神社に赴くも、ふりしきる雨。ハイライダーを利用して、5m四方にテントを吊り、地面が緩むのを防ぐ。
 浜松気象台によると午後2時には、雨が止むとのこと。.......しかし、雲は切れず、午後3時半に中止決定。本日の撮影終了後に帰京予定だった若侍8人も、もう1日滞在することになる。
 てるてる坊主をホテルの窓に吊るして眠る。(M.A.)
5月20日(木) 晴れ 静岡県森町・小國神社
 てるてる坊主のご利益だろうか、晴れ。昨日の遅れを取り戻すべく、準備もスピードアップ。しかし、晴れすぎて日光の照り返しがシーンの狙いより強いため、今度は雲待ち。皮肉なものだ。
 その間、和泉守(三船史郎さん)、伊兵衛(寺尾聰さん)、若侍の立ち回りリハーサルを行う。繰り返すごとに息もぴったりあってくる。さらに、2日間出番待ちの馬たちも、ニンジンをもらって気合い十分。
 本番ではスモークもうまくいって、まさに朝靄の雰囲気が出てOK。安堵する一同、そして拍手。それもつかの間、メインスタッフは、明日の馬の河渡りの現場の下見に急行する。(M.A.)
5月21日(金) 晴れ 静岡県・大井川
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馬による渡河シーンの練習中
 大井川の上流で渡河する和泉守(三船史郎さん)一行のシーン。河岸と河を見下ろす県道からの2カメラでの撮影。
 岸からだと、さらさらと流れているように見える河も、実際に入ってみるとその流れの激しさにびっくりする。特に中洲から向こうは、水圧で馬の歩く速度もがくっと落ちる。
 録音部の機材箱には乾燥剤の入ったビニール袋の中に「コンドーム」の山!。「一体なんだ?」と目を丸くして驚く私に、「役者さんの衣装にしのばせるマイクにコンドームをかぶせると、こういうシーンでは水よけになるし、振動感もそこなわれずいいんですヨ」と詳しく説明してくださり、ようやく納得する。
 河の中の尖った石を、スイムスーツに身を包んだ大道具、装飾、美術、特機さんたちが除いてくれた甲斐もあって馬も恐れず、本番もスムーズにOK。
 和泉守役の三船史郎さんは、成城大学馬術部時代にオリンピック候補選手にもなられたほどの馬術の腕前だけに、「台詞を言うのも馬上の方が落ち着く」とのこと。
 三船さんは今日で一旦出番が途切れるため、撮影終了後帰京。(M.A.)
5月22日(土) 曇り時々晴れ 静岡県・大井川
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インタビューを受ける小泉監督
 大井川川越えシーン撮影日。総勢135名のエキストラの皆さんが登場する。
 午前5時からスタッフの各パートが動き出す。天候は曇りだが、明るい。予報は晴れ、本当に晴れるのだろうか。
 午前6時、川越人足エキストラが支度場所である島田高等職業訓練校に集まる。このメンバーはシーン64の出演者で金谷町大井川大輦台(れんだい)保存会の人たち、昨日渡した褌、藁ぞうりを付けて集まる。
 かつらを付け、外で体にドウランを塗る。みんな、お互いに見合っては笑い、楽しそうな雰囲気。しかし、この人たちが本日の川越えの主役である。用意ができ、マイクロバスで現場へ送り出す。

 午前8時、島田駅に静岡大学映画研究会が現場手伝いとして到着。東海大のグループも静岡市より集まる。
 午前8時30分からシーン55のエキストラ(川越人足)が集まってくる。掛川駅集合の掛川市の皆さん、浜松日体大高校の皆さん他約50名がマイクロバスで支度部屋へ入る。
 島田市の皆さん、市役所の職員、静岡市よりサッカチームのメンバーが続々と車で集まってくる。
 このままでは褌、かつらが足りなくなりそうなほど。人足、町人、侍、職人、農民、浪人、駕籠かき、人夫、みんな扮装して楽しそう、あちこちで写真を撮っている。

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大井川を渡るエキストラのみなさん
 シーン64撮影終了、シーン55の準備をして昼食。すぐそばの蓬莱橋ではぼんぼり祭り、そして市内体験ヘリコプター発着があり、上空は騒がしい。でも、ギャラリーはそれほど多く集まっていない。午後2時、本番の声が掛かり、出演者の川越えが始まる。
 午後2時30分撮影終了、みんなの盛大な拍手が沸き起こる。
 出演者のみなさん、本当にありがとうございました。最初の頃は本当に人が集まるのか心配でしたが、予想以上に参加してくれて、褌、かつらが足らなくなり、12名ほど扮装できず見学に終わってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
 しかし、全員がこの初体験を楽しんでくれて、河原で褌姿のまま長い間待ってくれたり、川の中へ入ってくれたり、文句ひとつ言わず、頭が下がる思いでした。
 このシーンはこの人たちが主役です。あらためてこの映画を素晴らしい作品に作り上げることがこの人たちへの私達の感謝の証しにあると思いました。
5月23日(日) 晴れ 撮休日
5月24日(月) 静岡県・掛川城二の丸御殿足軽目付廊下
 朝から雨、小国神社にてシーン52林の道のリハーサル予定であったが、リハーサルを中止し、代わりに俳優部、一部スタッフが現場下見。
 午後4時、本隊出発、雨が降る中で準備、リハーサル後、食事を入れて午後7時に再開、2カメ1発OKで終了。
 本日、野上さんの誕生日、終了後スタッフを代表して監督より花束、みんなで祝う。本人知らされていないためびっくり、照れてらっしゃった。
 寺尾さんも出演がなかったのに現場に来てくれて一緒に祝ってくださった。
5月25日(火) 晴れ 静岡県森町・小國神社
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 本日、夕方のシーンにもかかわらず朝からピーカン、午前中から道場主、門弟達10名と寺尾さんの殺陣のリハーサル、午後4時照明佐野さんから光線OKが出て、本番。約5ページの芝居と殺陣を2カメで一気に撮る。
 カメラサイズを変えて再度本番、2度目は斬られた道場主の首から血が噴出す仕掛けがしてあり、失敗すれば再撮覚悟であったが、これも一発OK、スタッフ全員の拍手が起こる。結局、5月25日,26日,27日の3日予定していたシーン52が1日で終了、道場主,門弟役10名は帰京の途につく。
5月26日(水) 晴れ 諸準備
 本日諸準備。昨日の小国神社ロケのばらし復旧作業、および掛川ロケ最後の撮影場となる御前試合シーンの準備。
 シーン50の御前試合には、予てから「殿様、池に落ちて見るも哀れな姿」の図をどう撮るか、大きな課題であった。というのもロケ地の掛川城二の丸御殿には池がない。台本通り演出するには、殿様が倒れてフレームから切れた一瞬を狙って水をかけて見せかけるか、落ちる前と落ちた後とカットを割ってつなぐか、あとは実際に水路をつくるしかない...と、ここであきらめないのが撮影隊。「じゃあ、つくればいいじゃん!」と一気に水路が完成し、あとは水を流し込むだけ。
 決して即席カップラーメンではないが、大井川の支流といい、御殿の水路といい、いとも簡単に〔実は大変なのだが)実現してしまう、これが映画というものなのだ。
5月27日(木) 諸準備
 本日、豪雨。大井川が120mmまで増水し、当初適宜撮影の予定であったシーン1にはうってつけの撮影条件が整いつつある。
 明日の天候具合によっては予定を変更して本隊出陣の可能性大いにあり、急がば回れ、馬班、俳優部、特機部に至急連絡、シーン1に備えるべし。
5月28日(金) 曇り 静岡県・島田大橋付近
 昨日の大雨も収まり、川の水量も中州が見えるくらいに減り、さて、鈴木チーフ朝6時に大井川下見、思案の挙句、シーン1の撮影敢行を決断す。
 午前中のリハーサルが終わるやいなや大井川に直行、急遽呼び寄せた馬班、特機部、俳優部と合流、雨降らし用にハイライダー3台と、イントレ4段を組み、横浜から到着したペガサスクレーンにAカメを乗せ、鈴木チーフ、万を持しての本番!!...果たして、鈴木チーフの目論見、大当たり、見事にシーン1を撮り切った。
5月29日(土) 晴れ 静岡県・掛川城二の丸御殿
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 掛川ロケもいよいよ大詰め、御前試合のくだりに入る。隆さん、若松さん登場、地元市役所職員35名がエキストラ藩士に扮し、桜井プロデューサーが内トラで医者役に登場、なんと長年のトレードマークのひげを剃り落としたのにはスタッフも大驚き。 掛川城犬走りからの俯瞰ショットから始まり、2カメを駆使して伊兵衛と犬山、鍋山との対戦を可能な限りのアングルで狙う。
 寺尾さん、隆さん、若松さんの刀さばきも冴え渡り、文句なしの迫力ショットをフィルムに収める。
 明日は、お待たせ三船史郎殿様の出番です。
5月30日(日) 晴れ 静岡県・掛川城二の丸御殿
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 お待たせしました、御前試合のクライマックス「殿様池に落っこちて見るもあわれなお姿」、本番一発勝負。
 日曜日ということもあって、多くのギャラリーが詰め寄る中、スタッフ俳優ともに緊迫した雰囲気である。
 「本番!」とともに、槍をはさんで、伊兵衛と殿様にらみ合い、殿様、伊兵衛に押されて後ずさるやスッテンコロリと、垣根を飛び越え庭池へ転落、藩士が心配する中、立ち上がった殿様は泥水だらけの見るもあわれなお姿に...
 「カット!」の瞬間、拍手喝さい、無事ワンカット2カメで見事一発OK!!
 明日は最終地方ロケ、伊豆へ出発。
5月31日(月) 晴れ 静岡県・伊豆山中
 伊豆へ移動。シーン67の撮影中、突如ゼネ車が故障、急遽横浜より代替のゼネ車が到着するも、時すでに遅し、天空が撮影条件に見合わず、4カット回したところであえなく撮影中止、明日再撮となる。
 宮崎淑子さん、2度目のロケ入り、いつも笑顔で接してくださって、ロケも佳境に入り疲れがちなスタッフには大変良い薬である。オールスタッフ、正念場である、宮崎効果に期待したい。  

1999年6月分はこちらです
アスミック・エース映画情報When The Rain Lifts

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