世界中に大恐慌の嵐が吹き荒れる1930年代。輝かしい未来を夢見て、アイルランドからニューヨークへ渡ったマラキとアンジェラはそこで出会って結婚し、フランク、マラキ・ジュニア、双子のオリバー、ユージーン、そして一人娘マーガレットの5人の子供に恵まれた。夢溢れる新大陸での生活のはずだったが、父に仕事はなく、失業手当さえ酒につぎ込んでしまう。そんな貧しい生活の中、突然一家を悲劇が襲う。生まれたばかりの愛娘マーガレットが病気で死んでしまったのだ。悲しみのあまりベッドから出ることさえできない母。ますます酒に溺れていく父。打ちひしがれた一家は、生まれ故郷アイルランド、リムリックへ戻ることを決意する。フランクが5才の時だった。
リムリックの町で彼らを待っていたのは、アンジェラの実家の冷たい出迎えだった。アンジェラの結婚を祝福していないアンジェラの母、子供のいない気難しい叔母アギーと叔父パットは、それでも小さな部屋を借りれるだけのお金を工面してくれる。しかし運命は簡単には変わることはなかった。さらに悲劇が襲い、双子のオリバーとユージーンも息を引き取っていった。アンジェラはますます悲しみにくれ、父はその悲しみを紛らすためパブへ向かう。
アンジェラは愛する子供たちのために奔走する。家具を譲ってもらえないかと教会に懇願するが、「物乞いする者に選ぶ権利はない」と冷たく突き放されたうえに、逆に夫の仕事について詰問される。そんな辱めも自分の家族を守り養っていくために耐える母。仕事はないが、プライドの高い父に代わり、路地に落ちている石炭を拾い集め、教会で神父の食べ残しを物乞いする。そんな母親の姿をフランクは見守り続ける。
どんなに悲劇が襲っても子供たちは負けない。穴が空いても新しい靴を買ってもらえないフランクと弟マラキは、父が自転車の古タイヤで直してくれた靴を履いて学校に行かなくてはならない。クラスメートにからかわれ、いじめられるが、決してくじけない。どんなに貧しい生活でも少年にとっては毎日が楽しみの連続だった。映画館に忍び込んだり、野原を駆け回ったり。腸チフスを患って入院した時にはお風呂やトイレでシェイクスピアを読みふけり、退院して留年を余儀なくされた時は「キリストと天気」という作文で先生たちを驚かせ、元の学年に戻してもらう。毎日を一生懸命生きるフランク。先生は言う。「どんなに貧しくても 靴がぼろぼろでも 君たちの心は宝物」と。
飲んだくれの父が仕事を見つけてきた。しかしそれも一日しか続かない。賃金をパブで使い果たし、酔っ払って帰ってきた父は、翌朝寝過ごしてしまうのだった。新しい息子アルフォンソのために父方の祖父から届けられた5ポンドさえ、父は酒につぎ込んでしまう。フランクはパブから父を連れ戻してくるように言われるが、独り酔っ払って悲しそうに歌を歌っている父の姿を見ると、面白い話を聞かせてくれた父との楽しい思い出が蘇って声をかけられなくなる。ある日、父はイギリスに出稼ぎに行くことを決意した。電報為替で送金するという約束で、一人出掛けていく。電報を待つ日々。しかしなにも届かない。「僕が働くしかない」。フランクは石炭運びの仕事を始める。初めて自分で稼いだ1シリングをポケットに「僕も大人だ」と胸を張る。しかし働きすぎで重度の結膜炎になってしまい、初めての仕事もすぐに終わりを告げる。
父が帰ってくると約束したクリスマス。一家で父親を駅へ迎えに行く。しかし父親は現れない。結局一日遅れで戻ってきた父は、無一文だった。家族に咎められ、再び家を発とうとする父の後を、フランクは追いかける。そしてこの日を最後に、父はもう戻ってこなかった。父が出て行った翌週に3ポンドが届いたが、それっきり永遠に電報は届くことはなかった。生活はつらくなるばかり。ついにマコート家はアパートから追い出されてしまった。祖母が肺炎で亡くなり、家族はやむなく母のいとこラマン・グリフィンの家に厄介になる。暴力を振い、母に肉体関係を迫るラマンに我慢出来なくなったフランクは、パット叔父の家に移り住むことにする。
家族を養うため、学校を去るフランクに先生が言う。「自分が望んでいることをしろ、アメリカに行くんだ」と。郵便局で電報配達人として働き始めたフランクに、これまで冷たかったアギー叔母が仕事用の服を新調してくれた。人々の愛に励まされ、フランクは新生活を始める。そして配達先で美しい娘に出会ったフランクは初めての恋を知るのだった。こうして少年は成長していく。父のようにはなりたくない、早くお金を稼いで、家族を楽にさせたい。そう強く願うフランクはいつしかこの生活を抜け出して、アメリカへ行くことを夢見るのだった…。
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