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私が子供時代を過ごしたラ・コルーニャのカストロ・デ・エルビーニャという村には、巨大な壁があった。
それはエル・チャレと呼ばれるインディアナの庭園を完全に遮る石の壁だった。要塞のように立ちはだかるその壁は、圧迫感のある存在でしかなかった。ところが、そこには不思議な風穴、私たちの生活に多大な影響を及ぼす小さな“窓”のようなものがあった。ポルタスゴ映画館で上演される映画のポスターを貼る掲示板が掛けられていたのである。
毎週木曜日になると、雨だろうが晴れていようが、ポスター貼りの男がピカピカの自転車のハンドルをしっかりと握りペダルを漕いでやってくる。そこは遠く離れた村なので、まるでハリウッドから直々に使者が訪れるかのように、私たちはそのポスター貼りの男を楽しみに待っていた。あの当時、私には彼の仕事こそ世界最高の仕事だと思われた。自転車を持ちガリシア中を乗り回して、壁という壁に魔法の窓を貼ってゆくのだから。やがてポルタスゴ映画館の閉館が決まると、美しいスペイン語を話すその小柄の男はオリーブ売りになり、後に床屋になった。金回りがよくなって見た目にもどんどん太っていったが、その瞳には明らかに悲しみの色が伺えた。
私が執筆をするとき、よくあの男、あの自転車、あの映画のポスターを思い出す。映画館のスクリーンで見たものより、むしろあの壁にあったものを考えてしまう。あの心ときめかせた窓のことを。
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