アメリカを代表する大資産家のひとりで、センセーショナルな内容を書き立てるイエロー・ジャーナリズムで鳴らし新聞王としてマスコミや映画界に権勢を奮った。保守的な論調で政治にも大きな影響力を持ち、自らの政治的発言も多く、所得税の導入やルーズヴェルトの政策に反対、ムッソリーニのコラムを自分の新聞に連載させた。そのゴーストライターがマルゲリータ・サルファッティ。

 元々遺産で大きな財産を相続、若いころはハーバード大学などで学ぶが、いずれも退学処分になった筋金入りの反逆児。オーソン・ウェルズの父リチャード・H・ウェルズは当時のハーストの遊び友達だったらしい。
 
 
 映画界が好きでコメディ女優のマリオン・デイヴィスを愛人に、その主演映画を製作。『活動役者』(28)など無声映画の秀作も生んだが、ハーストは大恐慌の影響で資金難に陥り、デイヴィスは37年に引退。ただしハーストの巨大な邸宅サン・シメオンはその後も多くの映画人の集まる場所であり続けた。

 ウェルズの映画『市民ケーン』はハーストをモデルにしており、これを試写で見たハーストの腹臣のゴシップ記者ヘッダ・ホッパーが激怒、ハースト系新聞が派手な排斥キャンペーンを行った。その圧力を恐れたハリウッドでは一時この映画を焼却しようという動きも。ちなみにハースト本人は恐らくこの映画を見ていない。
 
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