1929年10月24日、それまでうなぎ昇りだったニューヨーク市場の株価が突然大暴落。このいわゆる“暗黒の火曜日”のショックで、アメリカ経済は破綻した。

 多くの市民は職を失っただけでなく、銀行の倒産で預金していた財産も失った。地方では農産物の価格が下落し、小作農の多くが生まれ育った土地を離れて流浪の旅に出て、その先でも仕事が得られず、餓死した人も少なくない。狂乱の20年代ともいわれる資本主義の最盛期から、人々はどん底に突き落とされた。

 この時代のアメリカの雰囲気は、『怒りの葡萄』(40)、『デッド・エンド』(37)、『サリヴァンの旅』(41)といった、大不況の終りの時代に作られた映画を見るとよく分かるだろう。ちなみに大不況下で唯一栄えたアメリカの産業は、映画だった。
 
 

 第一次大戦後アメリカからの資金で産業の立て直しを図っていたヨーロッパでは、経済の破綻の打撃はさらに激しかった。アメリカのフーヴァー政権は戦後賠償や戦債の支払いの無期限延期を発表、いわば国際的な借金棒引き宣言だったが焼け石に水。ドイツでは経済問題のすべてをユダヤ人に押し付け、強いドイツ民族の復興を謳ったヒトラー、イタリアでのムッソリーニのファシスト政権の成立を許すことになる。
 
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