
渡辺 祥子(映画評論家)
★ケネスがミュージカルですって!?★
ケネス・ブラナーがミュージカルですって!?
と、一応、驚ろいたふりをするけれど、じつは、以前から彼はいつかきっとミュージカル映画を撮るだろうと思っていた。
日本で彼の監督デビュー作『ヘンリー五世』が公開される少し前、彼の率いるルネッサンス劇団が、東京グローブ座で『真夏の夜の夢』と『リア王』を上演して、『真夏の夜の夢』の中の芝居をする職人たちの話の部分がミュージカル仕立てになっているのを見ていたので、この人はミュージカル好き、と勝手に決めていたのだ。その後、瞬く間に彼の名は映画の世界でも有名になり、そうなってからは、いつかきっとミュージカル映画に手を伸ばすに違いない、と思うようになった。そのうえ、彼の自伝《私のはじまり ケネス・ブラナー自伝》(白水社・刊)には、役のためにタップを習ったとか、演劇学校の学生だったときに歌を習った、と書いてあって、そのときの様子が嬉しそうだったから、これはもう間違いない、さて、いつになったらケネス・ブラナー主演・監督のミュージカルを見せてもらえるのだろう、と期待していたのだ。
でも、彼が初めてのミュージカル映画にシェイクスピアの「恋の骨折り損」を選ぶとは考えてもみなかった。だって、あまり有名ではない戯曲だし、どうせ映画にするなら知名度のある作品のほうがよさそうだから。
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