| サンダンス史上初、グランプリ、観客賞ダブル受賞 |
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1999年1月、雪深いサンダンスは興奮に包まれていた。「季節の中で」が、審査員グランプリ、観客賞、撮影賞の3部門に輝いたのだ。しかも審査員グランプリと観客賞のダブル受賞というサンダンス映画祭史上初めての出来事に、世界の映画人が注目した。本作はその後も、ベルリン映画祭正式出品など海外の映画祭で高い評価を受け続けている。
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| それぞれの季節、それぞれの生き方 |
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ヴェトナム、現在。郊外の蓮が咲き誇る屋敷。病に冒された詩人ダオの元で、少女キエン・アンは蓮摘みの仕事に就いた。シクロの運転手ハイは、偶然難を助けた娼婦ランに心魅かれる。都会の片隅で必死に生きようとするストリートキッズ、ウッディ。そして戦争中ヴェトナム女性との間に生まれた娘を探す元米兵ジェイムズ。日々変貌を遂げる街で、何かを模索しようとする人々の、それぞれの季節が織りなされていく。
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| “飾らずに、自分らしく生きればいい” |
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いくつもの巡り合いを繰り返し、何かしら小さな傷を負いながら都市に生きる人々。誰もが心に痛み、哀しみ、寂しさを抱える現代。でも、そんなささくれだった心を優しく癒してくれる誰かと出会えたら…。人は出会いを重ねながら自分と向き合い、居場所を見つけ、新しい生き方を探る。“自分らしく生きればいい”。ここに託されたメッセージは、国境を越えて優しく私たちの心を励ましてくれる。そして作品を彩る花や詩といったモティーフを散らした美しい映像と、行間に漂う豊かな情感。私たちは丹念に紡がれた物語の、たゆたうような、美しい詩に触れたような深い余韻に酔いしれるだろう。
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| ふたつの心をつなぐ、若さと強さと優しさと |
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監督のトニー・ブイは26歳。ヴェトナムのサイゴン(現ホーチミン市)に生まれ、2歳で両親とアメリカに移住。ビデオ店経営の父の影響で、幼少から映画に親しんだ。19歳の時ヴェトナムを訪れ、その時の強烈な印象から製作した短編“YELLOW LOTUS(黄色い蓮)”(94)が認められ、本作の製作につながった。
本作はまた、ヴェトナム戦争後初のオール・ヴェトナム・ロケ、しかもヴェトナム人俳優がヴェトナム語で演じたアメリカ映画という、画期的な作品でもある。トニーは二つの故郷を、最も美しい形で結びつけた。過去を超え未来を見つめる彼の若さと強さと優しさが、二つの心を一つにつなげた。
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| 蓮の心で結ばれたコラボレーション |
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主人公達にはアメリカとヴェトナムの著名な俳優が配された。ハーヴィ・カイテルは企画から賛同、主役の一人を演じ製作総指揮も務めている。彼の存在感は作品に映像的にも精神的にも深みを与えた。シクロの運転手役ドン・ズオンと蓮売りの少女グエン・ゴック・ヒエップは、人気・実力ともヴェトナムを代表する俳優。娼婦ランはアメリカ育ちのゾーイ・ブイ。映画初出演でヴェトナム語の習得という困難を見事乗り越えた。サンダンスで撮影賞に輝いた瑞々しい画面は「リスボン物語」のリサ・リンズラー。音楽は坂本龍一と共に「シェルタリング・スカイ」を手がけたリチャード・ホロウィッツ。ロケには両国の混合チームが4ヶ月を費やした。言葉や文化の違いを超えて完成した本作は、映画のポジティブなメッセージをそのまま体現しているといえよう。
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蓮の花言葉
清純。雄弁。泥の中に根を張りながらも泥に染まることなく、瑞々しく清らかな花を咲かせるところからきているのであろう。
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